第3回 集合の和と交わり
§1 和集合
AとBを集合とする。
AとBの要素を全て寄せ集めてできる集合をAとBの和集合、または、単に和といい、
A∪B
であらわす。
すなわち、
である。
例 A={1,
2, 3}、B={2
, 4 , 6}であるとき、
定理4
【証明】
(1) A∪Bは、AとBの要素を全部寄せ集めたもの。よって、x∈Aならば、x∈A∪B。
よって、A⊂A∪B。B⊂A∪Bも同様。
(2) x∈A∪Bとすれば、x∈Aまたはx∈Bである。
仮定より、A⊂CかつB⊂Cであるから、いずれにせよx∈C。ゆえに、A∪B⊂C
(3) (1)よりA∪B⊃Aであるから、A∪B⊂Aであることをいえばよい。
A⊂A、B⊂Aであるから、(2)によってA∪B=A。
(4) A∪B=AだからA∪B⊂A。(1)より、A⊂A∪B。ゆえに、第1回の定理2よりB⊂A。
(証明終)
(3)、(4)は、B⊂Aであるための必要十分条件がA∪B=Aであることを示している。
定理5
【証明】
(1) A∪B、B∪AともにAの要素とBの要素をすべて寄せ集めたもの。したがって、A∪B=B∪A。
(2) (A∪B)∪Cは、A∪Bの要素とCの要素をすべて寄せ集めたもの。A∪BはAとBの要素をすべて寄せ集めたもの。ゆえに、(A∪B)∪Cは、AとB、Cのすべての要素を集めたものにほかならない。
同様に、A∪(B∪C)も、AとB、Cのすべての要素を集めたものである。
したがって、(A∪B)∪C=A∪(B∪C)である。
(証明終)
(2)の結合法則より、
と括弧を取り外して計算してよいことが保証される。
問1 A∪A=Aであることを示せ。
【解】
定理2の(1)より、A∪A⊃A。
また、A⊂A、A⊂Aだから、定理2の(2)より、A∪A⊂A。
したがって、
A∪A=A
(解答終)
問2 A∪∅=Aであることを示せ。
【解】
A∪∅⊃A。
また、A⊂A、∅⊂Aだから、A∪∅⊂A。
したがって、
A∪∅=A
(証明終)
問3 A∪B=(A−B)∪Bであることを示せ。
【解】
A−B⊂A⊂A∪B、B⊂A∪Bだから、
(A−B)∪B⊂A∪B
つぎに、x∈A∪Bとすれば、x∈Aまたはx∈B。
x∈Bならば、x∈(A−B)∪B。
x∉Bならばx∈Aだから、x∈A−Bで、x∈(A−B)∪B。
いずれにせよ、
x∈(A−B)∪B。
したがって、
A∪B=(A−B)∪B
(解答終)
問4 (A−B)∪B=Aであるための必要十分条件はA⊃Bであることを示せ。
【解】
問3より、(A−B)∪B=A∪B。
問の条件より(A−B)∪B=Aだから、
A∪B=A
定理5の(3)、(4)より、A∪B=Aであるための必要十分条件はA⊃B。
したがって、
(A−B)∪B=Aであるための必要十分条件はA⊃Bである
(解答終)
§2 共通部分
2つの集合A、Bに共通する要素の全体からなる集合を、AとBの共通部分、あるいは、交わりといい、
A∩B
であらわす。
すなわち、
である。
AとBに共通する要素が1つもないとき、すなわち、
A∩B=∅
のとき、AとBは互いに素であるという。
例 A={1,
2, 3}、B={2,
4, 6}のとき、
定理6
【証明】
(1) x∈A∩Bだから、x∈Aかつx∈B。ゆえに、x∈A∩Bならばx∈A。よって、A∩B⊂Aである。
A∩B⊂Bも同様。
(2) x∈Cならば、C⊂A、C⊂Bより、x∈Aかつx∈B。ゆえに、x∈A∩B。よって、C⊂A∩Bである。
(3) (1)より、A∩B⊂B。よって、B⊂A∩Bであることを示せばよい。
B⊂A、B⊂Aであるから、(2)によってB⊂A∩B。
よって、B⊂AならばA∩B=Bである。
(4) 仮定より、B=A∩Bである。
したがって、(1)より
B=A∩B⊂A
(証明終)
定理7
定理5は明らかなので、証明略。
問1 定理4を用いて、A∩A=Aであることを示せ。
【解】
A⊂Aだから、定理4の(3)より、
A∩A=A
(解答終)
問2 A∩∅=∅であることを示せ。
【解】
∅⊂Aだから、定理4の(3)より、
A∩∅=∅
(解答終)
問3 A−B=Aとなる必要十分条件は、AとBが互いに素であることを示せ。
【解】
x∈A−Bとすると、x∈Aかつx∉B。
したがって、
(A−B)∩B=∅
である。
仮定より、A−B=Aだから、
逆に、AとBが互いに素であるとき、
A−B=A
よって、
A−B=Aとなる必要十分条件は、AとBが互いに素である。
(解答終)
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