2018年3月26日月曜日

第3回 集合の和と交わり

第3回 集合の和と交わり


§1 和集合
ABを集合とする。
ABの要素を全て寄せ集めてできる集合をAB和集合、または、単にといい、
A∪B
であらわす。
すなわち、
である。

例 A=1, 2, 3}、B=2 , 4 , 6}であるとき、

定理4
【証明】
(1) A∪Bは、ABの要素を全部寄せ集めたもの。よって、x∈Aならば、x∈A∪B
よって、A⊂A∪BB⊂A∪Bも同様。
(2) x∈A∪Bとすれば、x∈Aまたはx∈Bである。
仮定より、A⊂CかつB⊂Cであるから、いずれにせよx∈C。ゆえに、A∪B⊂C

(3) (1)よりA∪B⊃Aであるから、A∪B⊂Aであることをいえばよい。
A⊂AB⊂Aであるから、(2)によってA∪B=A

(4) A∪B=AだからA∪B⊂A。(1)より、A⊂A∪B。ゆえに、第1回の定理2よりB⊂A
(証明終)

(3)、(4)は、B⊂Aであるための必要十分条件がA∪B=Aであることを示している。

定理5
【証明】
(1) A∪BB∪AともにAの要素とBの要素をすべて寄せ集めたもの。したがって、A∪B=B∪A

(2) (A∪B)∪Cは、A∪Bの要素とCの要素をすべて寄せ集めたもの。A∪BABの要素をすべて寄せ集めたもの。ゆえに、(A∪B)∪Cは、ABCのすべての要素を集めたものにほかならない。
同様に、A∪B∪C)も、ABCのすべての要素を集めたものである。
したがって、(A∪B)∪C=A∪(B∪C)である。
(証明終)

(2)の結合法則より、
と括弧を取り外して計算してよいことが保証される。

問1 A∪A=Aであることを示せ。
【解】
定理2の(1)より、A∪A⊃A
また、A⊂AA⊂Aだから、定理2の(2)より、A∪A⊂A
したがって、
 A∪A=A
(解答終)

問2 A∪∅=Aであることを示せ。
【解】
A∪∅⊃A
また、A⊂A、∅⊂Aだから、A∪∅⊂A
したがって、
 A∪∅=A
(証明終)

問3 A∪B=(A−B)∪Bであることを示せ。
【解】
A−B⊂A⊂A∪BB⊂A∪Bだから、
 (A−B)∪B⊂A∪B
つぎに、x∈A∪Bとすれば、x∈Aまたはx∈B
x∈Bならば、x∈(A−B)∪B
x∉Bならばx∈Aだから、x∈A−Bで、x∈(A−B)∪B
いずれにせよ、
 x∈A−B)∪B
したがって、
 A∪B=(A−B)∪B
(解答終)

問4 (A−B)∪B=Aであるための必要十分条件はA⊃Bであることを示せ。
【解】
問3より、(A−B)∪B=A∪B
問の条件より(A−B)∪B=Aだから、
A∪B=A
定理5の(3)、(4)より、A∪B=Aであるための必要十分条件はA⊃B
したがって、
A−B)∪B=Aであるための必要十分条件はA⊃Bである
(解答終)

§2 共通部分

2つの集合ABに共通する要素の全体からなる集合を、AB共通部分、あるいは、交わりといい、
A∩B
であらわす。
すなわち、
である。

ABに共通する要素が1つもないとき、すなわち、
A∩B=∅
のとき、AB互いに素であるという。

例 A=1, 2, 3}、B=2, 4, 6}のとき、

定理6
【証明】
(1) x∈A∩Bだから、x∈Aかつx∈B。ゆえに、x∈A∩Bならばx∈A。よって、A∩B⊂Aである。
A∩B⊂Bも同様。

(2) x∈Cならば、C⊂AC⊂Bより、x∈Aかつx∈B。ゆえに、x∈A∩B。よって、C⊂A∩Bである。

(3) (1)より、A∩B⊂B。よって、B⊂A∩Bであることを示せばよい。
B⊂AB⊂Aであるから、(2)によってB⊂A∩B
よって、B⊂AならばA∩B=Bである。

(4) 仮定より、B=A∩Bである。
したがって、(1)より
B=A∩B⊂A
(証明終)

定理7

定理5は明らかなので、証明略。

問1 定理4を用いて、A∩A=Aであることを示せ。
【解】
A⊂Aだから、定理4の(3)より、
A∩A=A
(解答終)

問2 A∩∅=∅であることを示せ。
【解】
∅⊂Aだから、定理4の(3)より、
A∩∅=∅
(解答終)


問3 A−B=Aとなる必要十分条件は、ABが互いに素であることを示せ。
【解】
x∈A−Bとすると、x∈Aかつx∉B
したがって、
A−B)∩B=∅
である。
仮定より、A−B=Aだから、
逆に、ABが互いに素であるとき、
A−B=A
よって、
A−B=Aとなる必要十分条件は、ABが互いに素である。
(解答終)


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