第12回 行列の対角化
2次の正方行列の相異なる固有値をα、β、そして、α、βに対応する固有ベクトルをとする。
固有値と固有ベクトルの定義より、
これを1つの行列であらわすと、
となる。
は相異なるα、βに対応する固有ベクトルなので、互いに一次独立である。
したがって、
とおくと、行列Pの行列式|P|≠0であり、Pは逆行列P⁻¹をもつ。
よって、
つまり、
このように行列の固有ベクトルを用いて、対角行列を作ることを行列の対角化という。
2次の正方行列について述べたが、Aをn次の正方行列とし、その相異なるn個の固有値を、これに対応する固有ベクトルをとし、
とすると、
と、行列の対角化を行うことができる。
また、(1)より、
同様にして、
が成り立ち、
(5)式を用いて、を求めることができる。
を求めるだけならば、
同様に、
したがって、
とした方がスッキリしていますが・・・。
問題 とするとき、次の問に答えよ。
(1) Aの固有値、固有ベクトルを求めよ。
(2) を求めよ。
(3) 次の漸化式で与えられる数列の一般項を求めよ。
【解】
(1) Aの固有方程式は
k=1に対応する固有ベクトルは
k=5に対応する固有ベクトルは
(2) とおくと、
よって、
(3) この漸化式は行列を用いると、
と表すことができる。
したがって、
よって、
である。
(解答終)
追加問題
問題3 である、を求めよ。
【解】
と考えると、
したがって、
行列の固有値は
k=3に対する固有ベクトルは
k=1に対する固有ベクトルは
したがって、は
と対角化可能。
よって、
(解答終)
と、行列とその対角化をもちいて、わざわざ難しくして解くことも可能!!
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