第9回 1次変換の合成と逆変換
1次変換f、gを表す行列をA、Bとすると、合成写像を表す行列はABである。
また、Aが逆行列をもつとき、fの逆変換f⁻¹を表す行列はA⁻¹である。
問1 1次変換
とする。
このとき、次の問に答えよ。
(1) 合成写像g○fとf○gを表す行列を求めよ。
(2) 点(2,3)はg○fとf○gによって、それぞれどんな点に写されるか。
【解】
(1)
(2)
したがって、
(解答終)
問2 1次変換の逆変換f⁻¹を表す行列を求めよ。また、fによって点(2,3)に写される元の点を求めよ。
【解】
fを表す行列は|A|=2・3−(−1)・5=11≠0だから逆行列A⁻¹をもつ。
fによって点(2,3)に写される点を(x,y)とすると、
(解答終)
問3 P(x,y)を直線y=xに関して対称移動し、さらに、原点Oのまわりに60°だけ回転すると点(2,1)に写る。点Pの座標を求めよ。
【解】
P(x,y)を直線y=xに関して対称移動させる変換をf、さらに、原点まわりに60°だけ回転させる1次変換をgとすると、
f、gを表す行列A、Bは
したがって、
よって、元の点は(1−√3,1+√3/2)。
(解答終)
問題1
行列Aはどのような1次変換を表しているかを答えよ。
【解】
a²+b²≠0だから、
ここで、
とおくと、
したがって、Aは拡大(拡大比)と原点を中心とする回転の合成写像を表している。
(解答終)
問題2 原点を通り、x軸の正の向きと角θをなす直線をlとする。点(x,y)のlに関する対称点(x’,y’)を次のような1次変換の合成に求める。
(a) 原点Oを中心とする角−θの回転によって(x,y)を(x₁,y₁)に写す。
(b) (x₁,y₁)をx軸に関する対称点(x₂,y₂)に写す。
(c) 最後に、原点Oを中心とする角θの回転によって(x₂,y₂)を(x’,y’)に写す。
各変換を行列を用いて、
と表し、それらを合成して
と表す。
行列A、B、C、Dを求めよ。
【解】
Aは原点Oを中心とする角−θの回転を表す行列なので
Bはx軸に関する対称変換であり、(x₂,y₂)=(x₁,−y₁)という対応関係があるので、
Cは原点Oを中心とする角θの回転を表す行列なので
したがって、
(解答終)
問題3 y=mxについての対称移動を表す行列を求めよ。
【解】
m=tanθ(0≦θ<π/2,π/2<θ<π)だから、
cos2θの倍角公式
したがって、
m≧0(0≦θ<π/2)のとき
m<0(π/2<θ<π)のとき
よって、
以上のことから、
(※)
と求めることもできる。
点PとQが直線lに関して対称であるための条件は
1 PとQの中点が直線l上にある
2 線分PQが直線lと直交
【別解】
P(m,−1)、Q(−m,1)とすると、この中点は(0,0)で、直線y=mx上に存在する。
また、
直線y=mxはベクトルに平行。
よって、PQと直線y=mxは直交する。
したがって、PとQは直線y=mxに関して対称である。
平面上の点を直線y=mxに関して対称移動させる1次変換をfをすると、PはfによってQに写る。また、直線l上の点(1,m)はfによって自分自身(1,m)に写る。
1次変換fを表す行列をAとすると、
だから、
(別解終)
【別解2】
P(x,y)、Q(x',y')が直線y=mxに関して対称とする。
PとQの中点
はy=mx上にあるので、
線分PQはy=mxに直交するので、
①と②をx'、y'について解くと
したがって、
(別解2終)
(※) 直交する2直線の傾きの積は−1
こういう求め方がいいかどうかは疑問だが、m≠0のとき、
だから、
直線y=mxの傾きを限りなく大きく(または限りなく小さく)すると、y=mxはy軸に限りなく近づいてゆく。
だから、y軸を直線y=mxのm→±∞の極限と考えると、上のように、y軸(直線x=0)に関しての対称移動を表す行列
を得ることができる。
【別解3】
直線y=mxの単位方向ベクトルをとすると、
直線y=mxに関して対称な点をP(x,y)、P'(x',y')とし、その位置ベクトルをとする。
のに対する正射影ベクトルは
これは、の中点になるので、
(解答終)
別解3によって、
単位ベクトルに関しての対称変換をfとする。fによってがに写される変換は
であることがわかる。
これが1次変換であることは、
となることがわかる。
0 件のコメント:
コメントを投稿