第13回 推定
§1 母平均の推定
標本平均を用いると、標本調査から母集団の平均値を推定することができる。
いま、母集団からn個の標本を抽出し、標本平均、標本標準偏差sを得たとする。
母集団の平均をm、標準偏差をσとすると、標本平均の分布は、平均m、標準偏差の正規分布と考えてよいから、
は、標準正規分布N(0,1)に従い、正規分布表から
である。
したがって、95%の確実性で
nが大きければ、母集団の標準偏差σは標本標準偏差sに近いと考えてよい。
したがって、
このとき、上式が成立する確率は0.95だから、これを信頼度95%の推定という。
このとき、mが取りうる範囲を信頼区間といい、確率95%を信頼度という。
同様に、99%の信頼区間は
である。
問1 全国の中学3年男子から2000人を抽出し、その身長を調べたところ、平均値が161.5cm、標準偏差が6.5cmであった。信頼度95%で全国の中学3年男子の身長を推定せよ。
【解】
母集団の平均値をmとする。標本平均、s=6.5(cm)、n=2000だから
よって、161.5±0.28cmである。
(解答終了)
問2 ある都市の16歳の男子の中からまったく無作為に200人を抽出して、身長に関する下表のような度数分布を得た。これによって、この都市の16歳の男子の平均身長を信頼度95%で推定せよ。
身長(cm)
|
145〜150
|
150〜155
|
155〜160
|
160〜165
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165〜170
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170〜175
|
175〜180
|
180〜185
|
計
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人数
|
2
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4
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28
|
58
|
66
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32
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8
|
2
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200
|
(解答)
n=200だから
ここで、
だから、165.5±0.8cm(164.7〜166.3cm)
(解答終了)
問3 ある市の高校3年生4万人に数学のテストを行った。この成績を母集団として、大きさ900の標本を選んだところ、その平均値が58.6点、標準偏差が12.0点であった。母集団の平均値を95%の信頼度で推定せよ。
【解】
標本平均、標本標準偏差s=12.0、標本の大きさn=900だから、母集団の平均値をmとすると、
だから、57.8〜59.4点。
(解答終了)
問4 過去の資料によると、17歳男子の分布は、標準偏差5.8kgであることが知られている。95%の信頼度で17歳男子の平均体重を0.1kgの精度で求めるためには、何人の任意標本を選んだらよいか。
【解】
95%の信頼度の誤差は
だから、
になるように標本の大きさnを定めればよい。
よって、
したがって、約13,000人。
(解答終了)
n≧113.68²ではなく、n≧114²=12996としたほうがいいのかもしれないが・・・。
§2 母比率(母集団比率)の推定
工場で作られた製品の不良率を標本調査することによって95%の信頼度で推定すると場合について考えることにする。
母集団の製品全体の不良率をp、大きさnの標本中に含まれる不良品の個数を確率変数Xとすると、Xの分布は平均np、標準偏差の2項分布となる。
nが大きいとき、二項分布B(n,p)は正規分布とみなすことができるので、不良品の個数Xは、信頼度95%をもって
となる。
また、標本の不良率は
だから、
nが大きいとき、根号内のpはに代用できるので、
となる。
以上のことをまとめると、次のようになる。
比率の推定
大きさnの標本中に、条件Aを満たすものがr個あれば、標本比率
に対して、母集団における条件Aを満たすものの比率は
の信頼区間にある。
なお、信頼度99%ならば
である。
問1 ある工場で、製品の中から任意に200個を抽出して調べたところ、30この不良品があった。製品全体の不良率pを、信頼度95%で区間推定せよ。
【解】
よって、信頼度95%で
(解答終了)
問2 ある新聞の世論調査で、有権者1000人についてある政党を支持するか否かについて調べたところ、そのうちの576人が支持者であった。有権者全体のうちその政党を支持するものの割合を、信頼度99%で推定せよ。
【解】
(解答終了)
信頼度95%ならば
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