第9回正規分布1
§1 正規分布
1個のサイコロをn回振って、1の目が出る回数をXとすると、Xは2項分布に従う。
nをn=10,20,30,40,50と変化させ、1の目のr回出る確率
を計算した結果を下図に示す。
nが大きくなるにつれて、折れ線グラフが次第に平均を中心とする左右対称な正規分布曲線
に近づいてゆく(ラプラスの定理、中心極限定理)。
正規分布
を確率密度関数とする確率分布を正規分布という。
ここで、mは平均値、σは標準偏差、σ²は分散で、この分布をであらわす。
特に、m=0、σ=1のとき、N(0,1)を標準正規分布という。
標準正規分布の確率密度関数は
である。
とおくと、
であり、このI(λ)を確率積分という。
λの種々の値に対するI(λ)の値の表(正規分布表)の概略表を右に示す。
この表によると
したがって変量Xの値が
m−σとm+σの値にある確率は約0.6826
m−2σとm+2σの値にある確率は約0.9544
m−3σとm+3σの値にある確率は約0.9974
§2 正規分布の性質
確率変数Xが正規分布に従うとき、正規分布には次の性質がある。
また、
(4) Xが区間[a,b]に入る確率は
である。
問 N(10,4)においてを求めよ。
【考え方】
この計算をするためには、正規分布N(10,4)を標準正規分布に変換して計算をしなければならない。
そこで、
とおく。
このようにおくと
たとえば、Xが区間[a,b]に入る確率を求める場合、x=aは、x=bはに対応するので、
となり、正規分布表を利用することができる。
【解】
正規分布N(10,4)だから、平均値m=10、分散σ²=4だから、標準偏差σ=2。
とおくと、は
(解答終了)
求めるのは、上図の斜線部であることに注意!!
(標準)正規分布表は、λが0以上のものなので、λ≧0のとき、
そして、λ<0のとき
と計算をしないといけないので、この点も注意が必要。
表計算ソフトを使って答えを求めるならば、たとえば、次のようにすればよい。
関数NORMDISTの書式は、たとえば、
NORMDIST(数値、平均、標準偏差)
である。
この問題の場合、
NORMDIST(13、10、2)
となる。
便利な時代になったものである。
正規分布表の使い方、見方がどうしてもわからない人は、表計算ソフトのNORMDIST関数を使ってもよい。
余談になるが、お馴染みの偏差値は
だから、X=13の偏差値は
となり、正規分布に従っているならば、上位約7%に入っていることになる。
偏差値70は約上位5%で、偏差値80は約0.1%である。
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