第18回 統計のまとめ
§1 確率変数と確率分布
変量Xのとる値、およびXのこれらの値が取りうる確率が定まっているとき、変量Xを確率変数といい、との対応関係を確率分布という。
(2) 確率変数の平均と標準偏差
① 平均(値)・期待値
② 標準偏差σ
問題1 つぼの中に5個の球がはいっている。そのうち、3球には10点、他の2個の球には50点の印がついてある。ツボの中から2個の球を同時に取り出す。その2個の球の和を表す確率変数をXとする。このとき
(1) Xの確率分布を求めよ。
(2) Xの平均(期待値)、および、分散を求めよ。
【解】
(1) X=20の確率は
(1) X=20の確率は
X=60の確率は
X=100の確率は
X
|
20
|
60
|
100
|
P
|
3/10
|
3/5
|
1/10
|
(2) 平均値mは
分散σ²は
(解答終了)
分散を求めるために、
を使うのならば、
§2 二項分布
2項分布
においては
問題2 3枚の硬貨を投げる試行を500回繰り返すとき、2枚が表、1枚が裏の出る回数をXとする。Xの確率分布の平均と標準偏差を求めよ。
3枚の硬貨を投げたとき、2枚が表、1枚が裏である確率pは
したがって、
2枚が表、1枚が裏の出る回数Xは二項分布に従うので、平均値mと標準偏差σは
(解答終了)
§3 チェビシェフの定理
平均値m、標準偏差σの分布では
§4 確率密度関数と正規分布
(1) 確率密度関数
変量Xの変域をa≦X≦b、確率密度関数をf(x)とすると
問題3 変量Xの変域が0≦X≦1で、確率密度関数が
のとき、
(1) 定数aの値を求めよ。
(2) の値を求めよ。
(3) Xの平均値mと分散σ²を求めよ。
【解】
(2) 正規分布
確率変数Xの確率分布が
であるとき、Xの確率分布は正規分布であるといい、であらわす。
特に、平均が0、標準偏差1の正規分布
を標準正規分布という。
ここで、mはXの平均値、σは標準偏差である。
で、区間が区間にうつるとき、
問題4 ある学年の英語と数学の成績が右表であるとき、英語76点、数学73点とった生徒は、どちらの科目のほうが学年の中で上位であると考えられるか。
|
平均
|
標準偏差
|
英語
|
66.5
|
9.4
|
数学
|
60.3
|
10.8
|
【解】
英語の標準測度
数学の標準測度
したがって、数学のほうが上位である。
(解答終了)
問題5 あるクラスの成績Xの平均点をm、標準偏差をσとし、Xはほぼ正規分布をなすとき、成績をm−1.5σ、m−0.5σ、m+0.5σ、m+1.5σを境として5つの階級にわかち、成績のよい順にA、B、C、D、Eをつけるとき、かくかいきゅうにはいる生徒の割合を%で示せ。また、この場合、成績の平均は71.4、標準偏差を8.2とすると、成績が87点、74点、56点のものはどの階級に入るか。
【解】
であるから、
と置くと、
となる。
したがって、
また、
したがって、各階級の人数の割合は次のようになる。
階級 |
E |
D |
C |
B |
A |
割合 |
7% |
24% |
38% |
24% |
7% |
m=71.4、σ=8.2のとき、
だから、87点はA、74点はC、56点はE。
(解答終了)
§5 2項分布と正規分布の関係
二項分布に従う確率変数Xは、nが大きいとき正規分布に従うと考えられる。
したがって、
は正規分布にしたがうと考えてよい。
問題5 さいころを1800回投げるとき、1の目が出る回数Xが270から330回までの間にある確率を求めよ。
【解】
Xは二項分布に従うから、Xの平均値mと標準偏差は
nが大きいから、Xは正規分布に従うと考えて、標準化すると
したがって、
よって、求める確率は0.94。
(解答終了)
§6 母平均の推定(区間)
大きさnの標本平均の分布は、母集団の平均(母平均)m、標準偏差の正規分布と考えられる。
したがって、
平均値mの信頼度95%の信頼区間は
平均値mの信頼度99%の信頼区間は
である。
ここで、は標本の平均である。
(σが未知のとき、標本の標準偏差sをσの代わりに用いる)
問題6 大きさ100の標本の標本平均は56.3で標本標準偏差は10.2である。このとき、母平均mの信頼区間を95%で求めよ。
【解】
問題の条件より、n=100、。
また、標本の大きさnが100と大きいので母集団の標準偏差σは
したがって、
(解答終了)
§7 検定
「母平均がmである」という仮説を立てた場合、母集団から任意に抽出した大きさnの標本平均がならば、まず
を求め、、
①両側検定
優位水準95%のとき、|z|≧1.96のとき仮説を棄却する。
優位水準99%のとき、|z|≧2.58のとき仮説を棄却する。
②片側検定
優位水準95%のとき、z≧1.65(右側検定)、z≦−1.65(左側検定)のとき仮説を棄却する。
優位水準99%のとき、z≧2.33(右側検定)、z≦−2.33(左側検定)のとき仮説を棄却する。
問題7 A県のC市で高校3年生男子の中から100名を任意抽出して平均身長を求めたところ169.8cmであり、またその標準偏差は5.8cmであった。
これは、A県における高校3年生男子の平均身長168.6cmよりも高いと判定されるか。
優位水準95%と99%の検定でそれぞれ判定せよ。
【解】
「C市の高校3年生男子の平均身長は168.6cmである」という仮説を立てる。
優位水準95%の片側検定では、z=2.07>1.65だから仮説は棄却されて、C市の高校3年生男子の平均身長が高いと判定される。
優位水準99%の片側検定では、z=2.07<2.33だから仮説は棄却されず、C市の男子の平均身長が高いとは認められない。
(解答終了)
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