2017年2月23日木曜日

第59回 2次元のベクトル場

第59回 2次元のベクトル場


成分(u,v)のベクトル関数Aが平面上の各点(x,y)に対応しているとする。
また、平面上の基本単位ベクトルをij、この平面に垂直な基本単位ベクトルをkとする。
このとき、ベクトル場Aから次のスカラー場とベクトル場が定義される。
さらに、スカラー場φが与えられているとき、次のベクトル場が定義される。

問1 の発散と勾配を求めよ。
【解】
ベクトル関数Ax成分、y成分をそれぞれuvとすると、
だから、
(解答終了)

問2 次の問いに答えよ。
(1) 次の等式が成立すことを示せ。
(2) φ=x²+2xy+y²とするとき(1)の等式が成り立つことを確かめよ。
【解】
(1)

(2)
(解答終了)

(x,y)の位置ベクトルをrであらわせば、平面上の曲線はパラメータtのベクトル関数r=r(t)で、その接線ベクトルは微分drで表される。すなわち
である。
かりに、ベクトル場内の、ある曲線上の任意の点における接線がベクトル場Aに平行であるとする。
このとき、
が成立する。そして、⑤式によってその曲線が与えられる。

おそらく、何を書いてあるかわからないと思うので、ベクトル解析の故郷というべき流体力学を例に説明することにする。

ぱっと一本、曲線を引く。この曲線上のすべての点における接線(の方向ベクトル)が、運よく、たまたま、曲線上のすべての点で、その点における風向き、流れの向きと平行であるとき、この曲線を流線という。
流れの速度ベクトルの成分を(u,v)とすると、この曲線、流線の方程式は
ということ。
電磁気学の電場だとこの曲線は電気力線である。そして、電気力線の接線(の方向ベクトル)が電場の向きと平行である。

恒等的にrot A=0が成立するベクトル場A非回転渦なしという。
すなわち、
このとき、ベクトル場AA=grad φとなるφをもつ。
何故ならば、閉曲線Cで囲まれた領域をDとすると、グリーンの定理(ストークスの定理)より
そして、曲線Cを下図のように分解すると
となり、点(x₀,y₀)と点(x,y)の線積分
の値は道筋によらない。
そこで、
と定義すると、
となるからである。


A=grad φであるとき、φAのポテンシャルという。φ=c(一定)の曲線を等ポテンシャル線(3次元ならば等ポテンシャル面、曲線)という。等ポテンシャル線φ=cをパラメータt
であらわせば、これをtで微分すると
である。したがって、φの勾配grad φと等ポテンシャル線φ=cとは直交する。
何故ならば、
だから。

また、div A=0となるベクトル場を管状場という。
管状場でかつ渦なし場のとき、
したがって、φは調和関数である。


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