2017年10月2日月曜日

第1回 テンソルとは

第1回 テンソルとは


空間内の任意のベクトルxに対して値が定まり、その値がベクトルである関数T(x)があるとする。
関数Tが、任意のベクトルxy、任意の実数aに対して、つぎの線形条件
を満たすとき、T(2階の)テンソルという。
なお、上の線形条件(1)と次の条件(2)とは同値である。
任意の実数ab、任意のベクトルxyに関して
である。

今後、空間に設置した座標系O-xyzx軸、y軸、z軸をそれぞれx₁軸、x₂軸、x₃軸とあらわすことにし、その基本ベクトルをとする。
ベクトルの成分を
とすると、
である。
このとき、
をテンソルTの座標系O-x₁x₂x₃に関する成分といい、T(i,j)成分という。

は、
と表せるので、とすると、
ゆえに、とすれば、
すなわち、
である。
行列を用いてかけば、
である。

テンソルTの成分をとすると、(4)式より
である。

問1 任意のベクトルxに対してであるテンソルの成分は単位行列
である。これを単位テンソルといい、記号Iなどであらわす。
【解】
(4)とより
したがって、テンソルの成分は
(解答終)
【別解】
より、
したがって、(9)より
よって、
(解答終)
問2 任意のベクトルxに対してであるテンソルの成分は零行列
である。これを零テンソルといい、記号0であらわす。
【略解】
より
よって、
(略解終)


問3 ベクトルが与えられたとき、任意のベクトルxに対してA×xを対応させる、すなわち、
となるテンソルTの成分を求めよ。
【解】
とすると、
したがって、
よって、テンソルの成分は
である。
(解答終)


0 件のコメント:

コメントを投稿