2017年10月5日木曜日

第4回 直交軸の変換とクロネッカーのデルタ

第4回 直交軸の変換とクロネッカーのデルタ

§1 直交軸の変換

直交座標を表すのに、xyzのかわりに、を用い、軸の基本ベクトルをそれぞれeeeとする。

直交軸Ox¹Ox²Ox³を他の直交軸Ox’¹Ox’²Ox’³に変える場合を考える。
このとき、軸、軸、軸に対する基本ベクトルをeeeとし、x’¹軸、x’²軸、x’³軸に対する基本ベクトルをeeeとする。さらに、点P軸、軸、軸に対する座標をとし、x’¹軸、x’²軸、x’³軸に対する座標をx’¹x’²x’³とする。

軸、軸、軸に対するx’¹軸、x’²軸、x’³軸の方向余弦、つまり、eeeの方向余弦は、それぞれ次のようになる。
逆に、x’¹軸、x’²軸、x’³軸に対する軸、軸、軸の方向余弦、つまり、eeeの方向余弦は
となる。
したがって、
また、

(1)から(2)を、(2)から(1)を直接導くことができる。
となるので、e軸、軸、軸に対する方向余弦をl₁m₁n₁とすると、
よって、
だから、
となり、
同様に、
となる。

(1)と(2)のように、いちいち、成分に分けて書くのは面倒なので、
とまとめて書くことにする。

さらに、直交軸が(1)のように変換されるとき、点の座標の変化を調べることにする。
P軸、軸、軸に対する座標を、また、x’¹軸、軸、x’³軸に対する座標をx’¹x’²x’³とすると、
(3)式から
また、
だから、
つまり、
となる。

§2 クロネッカーのデルタ

ijがそれぞれ1、2、3の値をとるとき、9個の数
と定義したものをクロネッカーのデルタという。
つまり、
このクロネッカーのデルタを用いると、
で。同様に、
である。
したがって、
となり、同様に
が成立する。
なお、クロネッカーのデルタを
と表記する場合もある。

問題 直交軸の変換公式
の係数に対して
であることを証明せよ。
【解】
基本単位ベクトルe₁e₂e₃は互いに垂直で大きさが1なので
だから、
である。
で、x’¹x’²x’³に対するの成分(方向余弦)は
だから
となる。
よって、
となる。
で、
だから、
また、
だから、
(証明終)

なお、
はとても重要な性質です。

0 件のコメント:

コメントを投稿