2017年10月14日土曜日

第13回 テンソルの特性方程式、内積など

第13回 テンソルの特性方程式、内積など


§1 テンソルの特性方程式

空間内に設定された直交座標系O-x₁x₂x₃に関するテンソルTの成分をとする。Eを単位行列とすると、行列式
λについての3次の多項式になる。
他の座標系O-x'₁x'₂x'₃に関するテンソルTの成分をとし、
とおく。
すると、
だから、これを上式に代入すると、
したがって、テンソルTの成分の成分で作ったF(λ)は使用する直交座標系には無関係で、テンソルTによってのみ定まる。そして、このF(λ)をテンソルTの特性方程式という。したがって、次の3次方程式
の3つの解をλ₁λ₂λ₃とすれば、これらは直交座標系には無関係で、テンソルTによってのみ定まる。このλ₁λ₂λ₃をテンソルTの固有値、F(λ)=0をテンソルT特性方程式固有方程式)という。
F(λ)=0を展開すると、
3次方程式の解と係数の関係より、
特性方程式F(λ)=0の3つの解λ₁λ₂λ₃は使用する直交座標系とは無関係でテンソルTのみによって決定されるので、上の3つの式の左辺は使用する直交座標系とは無関係でテンソルTのみによって決まる不変量である。
この3つの内、
は、それぞれ、テンソルTトレース行列式と呼ばれる。

§2 テンソルの内積

2つのテンソルSTの直交座表系O-x₁x₂x₃における成分をそれぞれとするとき、
をテンソルSTの内積といい、記号STであらわす。
すなわち、
である。

ただ、テンソルの内積STに意味を持たせるには、直交座標系によってこの値が変わらないことを示す必要がある。
そこで、O-x'₁x'₂x'₃に関するテンソルSTの成分をとすると、テンソルの成分の変換硬式から
したがって、
ここで、
だから、
よって、
つまり、
は、使用する直角座標系に無関係でテンソルSTによってのみ決定される。
ここで、
である。

特に、S=Tのとき、
よって、テンソルTの長さ
と定義することができる。
テンソルの長さの定義より、
となるテンソルTは零テンソルのみである。


1 件のコメント:

  1. 3×3のテンソルでわかりやすかったのは材料物理数学再武装で有名なK博士のFacebookだったな。

    返信削除