2017年10月19日木曜日

第16回 テンソルの微分

第16回 テンソルの微分


テンソルの各成分がスカラーtの関数であるとする。
直角座標の変換によって
となるから、この両辺をtで微分すると、
したがって、はテンソルである。これをテンソルの微分係数という。

をテンソル、をベクトルとすれば、
などが成り立つ。

テンソルの成分が座標xの関数であるときテンソル場といい、記号、などであらわす。で偏微分した
は3次のテンソルであり、これをテンソル場の偏微分係数という。
を縮約すると、
が得られる。
(1)をテンソル場右発散、(2)をテンソル場左発散といい、記号、
などであらわす。
また、テンソルが対称テンソルのとき、すなわち、
であるとき、
となり、右発散と左発散は一致する。
このとき、
などであらわすことがある。

φをスカラー、Tをテンソル場とするとき、
したがって、(縮約すると)
また、テンソルが対称テンソルのとき、
と形式的にあらわすことができる。

を閉曲面Sで囲まれた領域Vにおけるテンソル場とする。
ガウスの発散定理(※)から
これらの和をとれば
曲面Sの内部から外部へ向かう単位法線ベクトルnの成分をとすれば、上式は
よって、が対称テンソルのとき、
が成り立つ。
これを対称テンソル場のガウスの積分公式ということがある。


(※)
ガウスの(発散)定理
閉曲面Sで囲まれたVにおいて、A(x,y,z)をベクトル関数とすれば
ただし、nは閉曲面Sの内部から外部に向かう単位ベクトルである。

0 件のコメント:

コメントを投稿