2017年10月24日火曜日

2次形式の正定値、負定値と極値の判定

2次形式の正定値、負定値と極値の判定


pqrを実数とする。
xyの2次同次式
2次形式という。
が成り立つとき、f(x,y)正定値であるといい、
が成り立つとき、f(x,y)負定値という。

p≠0のとき、2次形式は
と変形できる。

したがって、次の定理が成り立つ。

定理 (2次形式の正定値、負定値)
2次形式
 (1) p>0pr−q²>0ならば、正定値
 (2) p<0pr−q²>0ならば、負定値
 (3) pr−q²<0ならば、正定値でも負定値でもない
【証明】
p≠0のとき、2次形式を平方完成すると、

(1) p>0pr−q²>0のとき、
したがって、2次形式F(x,y)は正定値である。

(2) p<0pr−q²<0のとき、
したがって、2次形式F(x,y)は負定値である。

(3) p≠0のとき、
よって、pr−q²<0ならば、F(1,0)F(q,−p)は異符号になる。
p=0のとき、
したがって、p=0のとき、
となり、これはすべての実数値をとる。
したがって、pr−q²<0のとき、F(x,y)は正定値でも負定値でもない。
(証明終)

ところで、2次形式F(x,y)=px²+2qxy+ry²は行列を用いると次のように書き換えることができる。
そして、実対称行列の行列式は
である。
したがって、先の定理は
2次形式は、
とし、その行列式を|A|とするとき、
(1) p>0、|A>0ならば、正定値
(2) p<0、|A>0ならば、負定値
(3) |A<0ならば、正定値でも負定値でもない
と言い換えることができる。

行列は実対称行列なので、この行列の固有値は必ず実数である。
そこで、次に、この行列の固有値との関係を調べてみることにする。
行列Aの固有方程式(特性方程式)は
この2次方程式の判別式をDとすると、
したがって、固有方程式の解は実数である。
この解をλ₁λ₂とすると、解と実数の関係より、
p>0pr−q²>0のとき
である。
したがって、
である。
λ₁λ₂>0だから、λ₁λ₂は同符号。また、λ₁+λ₂>0だから、λ₁>0λ₂>0である。
逆にλ₁λ₂が正のとき、p>0pr−q²>0である。
したがって、行列Aの固有値がともに正であるとき、2次形式F(x,y)は正定値である。
同様に、行列Aの固有値がともに負であるとき、2次形式F(x,y)は負定値となる。
さらに、pr−q²<0のとき、
となり、λ₁λ₂は異なる符号を持つことになり、このとき2次形式F(x,y)は正定値、負定値でもないということになる。

関数f(x,y)級の関数とする。このとき、テーラーの定理から
となる(ξ,η)が点(a,b)と点(x,y)となる直線上に存在する。
f(x,y)が点(a,b)で極値を取るとき、
であるから、
となる。
f(x,y)級だから、点(a,b)の近傍では、は同符号。
そこで、
さらに、
とおくと、
は2次形式となる。
よって、
のとき、F(x,y)は正定値である。
したがって、
となり、f(a,b)は極小値である。
同様に、
のとき、2次形式F(x,y)は負定値。
そして、このことから、点(a,b)の近傍で
となり、f(a,b)は極大値と判定することができる。

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