2016年12月29日木曜日
第6回 独立試行の確率と2項分布の問題
第6回 独立試行の確率と2項分布の問題
問題1 ❍、☓で答える6つの問題が与えられている。いまこの解答にするのに何も考えずにでたらめに❍、×をつけるとき、そのうちの正解数をXとする。
(1) X≧3になる確率を求めよ。
(2) Xの平均値(期待値)と標準偏差を求めよ。
【解】
正解数の分布は2項分布。
(1)
(2) 平均値mと標準偏差σは
(解答終了)
問題2 日本人の血液型の10人に3人の割合がO型である。5人の日本人を選んだとき、そのうちのO型の人数をXとする。
(1) Xはどのような分布に従うか。
(2) Xの期待値と標準偏差を求めよ。
(3) 南方系のある人種から5人を選んだとき、そのうちの4人が O型であった。この人種が日本人よりもOがたが多いと判定したときの危険率を求めよ。
【解】
(1) 2項分布B(5,0.3)に従う。
(2) 平均値をm、標準偏差をσとすると、
(3) 日本人とO型の割合が等しいと仮定する。
つまり、p=0.3として、P(X≧4)の確率を計算すると
よって、危険率は3%である。
(解答終了)
危険率については検定であらためて説明することにするが、
「南方系のある人種の人たちに占めるO型のヒトの割合が日本人のそれと等しい」という仮説を立てると、5人中4人がO型である確率は0.03で非常にまれなことが起きているということになる。
問題3 さいころを50回投げるとき、1の目が出る回数をXとする。
(1) Xがいくらのとき確率は最大になるか。
(2) Xの平均値を求め、(1)で求めた値と比較せよ。
【解】
1の目が出る回数は2項分布に従う。
(1) X=kのとき確率が最大とすると、
よって、8回のとき最大。
(2) 平均値(期待値)は
8は平均50/6に最も近い整数である。
(解答終了)
2016年12月28日水曜日
第5回 独立試行と二項分布
第5回 独立試行と二項分布
1回の試行で事象Aの起こる確率をpとすると、この試行をn回繰り返した場合、事象Aがr回起こる確率は
である。
問1 袋の中に赤球1個、白球4個が入っている。この中から1個取り出して、もとに戻すことを3回繰り返す。この場合、赤の出る回数をXとして、Xの確率分布を求めよ。
【解】
取り出した球を戻すので、赤球の出る確率p=1/5、白球の出る確率q=4/5。
この問題の場合n=3。
Xの取りうる値は0、1、2、3。
X=rの時の確率をP(X=r)と書くことにすると、
したがって、確率分布は次のようになる。
X
|
0
|
1
|
2
|
3
|
計
|
確率 | 64/125 | 48/125 | 12/125 | 1/125 | 1 |
(解答終了)
この問題には出ていないけれど、赤球の出る回数rの期待値mは
である。
§2 2項分布
変量Xが0、1、・・・・・・、nの値をとり、それらの値をとる確率が
で与えられる確率分布を2項分布という。
その平均・期待値m、標準偏差σは
である。
(2)、(3)を使えば、問1の平均値、標準偏差は
と、複雑な計算をすることなく、すぐに求めることができる。
【(2)の証明】
2項定理より
xで微分すると、
x=1を代入すると、
p+q=1だから
(証明終わり)
【(3)の証明】
また、
よって、
ここで、①の両辺をxで微分すると、
x=1を上式に代入すると、
これを②に代入すると、
(証明終わり)
問2 10%の不合格品を含む同じ製品の一山がある。この中から任意に4個を取り出すとき、その中に含まれる不良品の数Xで確率分布の表で示し、Xの平均値、標準偏差を求めよ。
【解】
X=rである確率は
したがって、確率分布表は
X
|
0
|
1
|
2
|
3
|
4
|
計
|
確率
|
0.6561
|
0.2916
|
0.0486
|
0.0036
|
0.0001
|
1
|
したがって、平均値=0.4、標準偏差=0.6
(解答終了)
問題 1回の試行で事象Aの起こる確率がpであるとき、n回の試行の内、事象Aが最も起こりやすい回数を求めよ。
【解】
r=kのとき、確率が最大になるとすると、
したがって、
そこで、①より
②に対しては、③のkをk+1と置き換えて、不等号の向きを入れ替えると、
③と④より、
を満たす整数kのとき、事象Aは最も起こりやすい。
(解答終了)
問3 1個のさいころを40回投げるとき、1つの目が何回出る確率が最も高いか。
【解】
n=40、p=1/6。
(4)より
よって、6回のとき確率は最大になる。
(解答終了)
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