確率の初歩 条件付き確率と事象の独立
§1 条件付き確率と事象の独立
(1) 条件付き確率
ある試行において、事象Aが起こったときの事象Bの起こる確率を条件付き確率といい、であらわす。
例1 箱の中に7個の白玉、3個の赤玉が入っており、取った玉は箱に戻さないことにする。
そして、1回目に赤玉を引く事象をA、2回目に赤玉を引く事象をBとすると、AとBの積事象A∩Bは1回目、2回目ともに赤玉を引く事象ということになる。
赤玉を2度引く組み合わせの数は通り、すべての組み合わせの数はだから、2回とも赤玉が出る確率P(A∩B)は
したがって、1回目に赤玉が出たあとの2回目に赤玉を引く確率、条件付き確率は(1)より
となる。
これは、次のように考えることもできる。
1回目に赤玉が1個出たので、残り9個の玉の内の2個が赤玉。
したがって、1回目に赤玉が出た事象に引き続いて赤玉が出る事象が起きる確率は
また、
だから、
である。
例2 コインを2度投げるとする。
1度目に表の出る事象をA、2度目に表の出る事象をBとすると、2度とも表の出る事象はA∩B。
この場合、P(B)=1/2だから、
である。
問題1 ボルト工場において、機械A、Bは全体の60%、40%を作り、その製品のうちそれぞれ2%、5%が不良品であるとする。
製品の中から任意の一本のボルトが選ばれるとする。
(1) そのボルトが不良品である確率を求めよ。
(2) その不良品が機械Aで作られた確率を求めよ。
【解】
(1) 機械A、Bで製品が作られた事象をA、B、不良品である事象をCとすると、
したがって、
(2)
(解答終了)
解いただけです。
問題1の解を読んで何をやっているかわからなくても、悲観しないでください。
これはそういう問題ですから。
(2) 事象の独立
2つの事象A、Bがあって、一方の事象が他方の確率に影響を与えないとき、すなわち、
が成り立つとき、AとBは独立である、独立事象であるという。
§2 乗法定理
(1) 任意の事象A、Bについて
(2) 2つの事象A、Bが独立であるための必要十分な条件は
問 さいころを1回振る。事象Aと事象Bは独立か従属かを答えよ。
(1) A:2の倍数が出る B:3以上の目が出る
(2) A:3の倍数が出る B:3以上の目が出る
【解】
(1)
よって、独立である。
(2)
よって、独立でなく、従属である。
(解答終了)
§3 独立試行の確率
1回の試行で事象Aの起こる確率がpであるとすると、この試行をn回独立に繰り返した場合、事象Aがr回起こる確率は
である。
例 コインを5回投げるとする。このとき、表の出る確率pはp=1/2。
したがって、表が3回出る確率は
である。
問 1枚の硬貨を何回も投げてゆき、表の出た回数が2になったところでやめにする。ちょうど10回投げたところで止めになる確率を求めよ。
【解】
ちょうど10回で止めになるのは、9回までに表が1回出て、ちょうど10回目に2回目の表が出る場合。
表の出る確率は1/2で、表が1回、裏が8回出る確率は
10回目に表が出る確率は1/2だから、ちょうど10回目で終わりになる確率は
(解答終了)
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