2016年12月28日水曜日

第5回 独立試行と二項分布

第5回 独立試行と二項分布


§1 独立試行の確率

1回の試行で事象Aの起こる確率をpとすると、この試行をn回繰り返した場合、事象Ar回起こる確率
である。

問1 袋の中に赤球1個、白球4個が入っている。この中から1個取り出して、もとに戻すことを3回繰り返す。この場合、赤の出る回数をXとして、Xの確率分布を求めよ。
【解】
取り出した球を戻すので、赤球の出る確率p=1/5、白球の出る確率q=4/5
この問題の場合n=3
Xの取りうる値は0123
X=rの時の確率をP(X=r)と書くことにすると、
したがって、確率分布は次のようになる。

X
0
1
2
3
確率 64/125 48/125 12/125 1/125 1
(解答終了)

この問題には出ていないけれど、赤球の出る回数rの期待値m
である。


§2 2項分布

変量X01、・・・・・・、nの値をとり、それらの値をとる確率が
で与えられる確率分布を2項分布という。

その平均・期待値m、標準偏差σ
である。

(2)、(3)を使えば、問1の平均値、標準偏差は
と、複雑な計算をすることなく、すぐに求めることができる。


【(2)の証明】
2項定理より
xで微分すると、
x=1を代入すると、
p+q=1だから
(証明終わり)

【(3)の証明】
また、
よって、
ここで、①の両辺をxで微分すると、
x=1を上式に代入すると、
これを②に代入すると、
(証明終わり)

問2 10%の不合格品を含む同じ製品の一山がある。この中から任意に4個を取り出すとき、その中に含まれる不良品の数Xで確率分布の表で示し、Xの平均値、標準偏差を求めよ。
【解】
X=rである確率
したがって、確率分布表は

X
0
1
2
3
4
確率
0.6561
0.2916
0.0486
0.0036
0.0001
1

したがって、平均値=0.4、標準偏差=0.6
(解答終了)


問題 1回の試行で事象Aの起こる確率がpであるとき、n回の試行の内、事象Aが最も起こりやすい回数を求めよ。
【解】
r=kのとき、確率が最大になるとすると、
したがって、
そこで、①より
②に対しては、③のkk+1と置き換えて、不等号の向きを入れ替えると、
③と④より、
を満たす整数kのとき、事象Aは最も起こりやすい。
(解答終了)

問3 1個のさいころを40回投げるとき、1つの目が何回出る確率が最も高いか。
【解】
n=40p=1/6
(4)より
よって、6回のとき確率は最大になる。
(解答終了)


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