確率の初歩 場合の数
高校程度の統計をやる前に、これから数回にわたって、その前提知識として必要になる、場合の数と確率について少しだけ述べることにする。
§1 和の法則
和の法則
2つの事柄A、Bがあって、同時に起こらないとする。
Aの起こり方がm通り、Bの起こり方がn通りであるとすれば、AまたはBの起こる場合の数、m+n通りである。
同時に起こらないということは、右図(ベン図)で示される集合Aと集合Bが交わりA∩Bをもたない、つまり、A∩Bが空集合∅
であるということ。
右図に示されるように、AとBの交わりが空集合でないとき、集合A、Bの集合の元(要素)の個数をn(A)、n(B)などとあらわすことにすると、集合Aと集合Bの和集合A∪Bの元の個数n(A∪B)は
になる。
例 とすると、
n(A)+n(B)だと、A∩B={6}の6を1個ダブルカウントすることになるから、ダブルカウントしている個数を引く!!
(1)式は、A、Bが無限集合の場合、必ずしも成り立たないので注意が必要。
(1)式は、A、Bが無限集合の場合、必ずしも成り立たないので注意が必要。
問1 1から1000までの正の整数のうち、5または7の倍数の個数はいくつあるか。
【解】
1から1000までの正の数のうち、5の倍数である集合をA、7の倍数である集合をBとする。
そうすると、A∩Bは、1から1000までの整数のうち、「5の倍数であり、かつ、7の倍数」、つまり、「35の倍数」の集合。
n(A)=200、n(B)=142、n(A∩B)=28だから、
よって、314個
(解答終了)
問2 100人の生徒の中で、音楽の愛好者は53人、スポーツの愛好者が72人いる。音楽とスポーツの両方を愛好する生徒数をn人とすると、nの取りうる最小値と最大値を求めよ。
【解】
音楽の愛好者の集合をA、スポーツの愛好者の集合をBとすると、n(A)=53、n(B)=72、n(A∩B)=n。
で、A∩B⊆Aだから、
また、条件から
①と②より、
したがって、nの最小値は25、最大値は53。
(解答終了)
問3 2桁の正の整数のうち、一位の数字が十位の数字よりも小さいものはいくつかるか。
【解】
十位の数字が1のとき、一位の数字は0で1個。
十位の数字が2のときは、一位の数字は0と1の2個。
十位の数字がn(=1〜9)のとき、1位の数字は0,1,・・・,n−1のn個。
したがって、
45個である。
(解答終了)
§2 積の法則
積の法則
2つのことがらA、Bがあって、Aの起こり方がm通り、Aのおのおのの起こり方に対して、Bの起こり方がnとおりであれば、Aに引き続いてBの起こる場合の数はm・n通りである。
問1 N=9800の正の約数は、1とNを含めていくつあるか。
【解】
N=9800を素因数分解すると、
2³・5²・7²の正の約数は
とかけるので、正の約数の個数は
よって、36個
(解答終了)
問2 0,1,2,3,4,5の6個の数字がある。個の中から3個の活字を並べてできる3桁の整数のうち432以下の整数はいくつできるか。
【解】
百位が4のとき、十位が3ならば、一位は0,1,2の3通り。
百位が4のとき、十位が0,1,2ならば、一位はそれぞれにつき4通りあるので、3×4=12通り。
百位が1〜3のとき、十位は5通り、一位は4通り。したがって、3×5×4=60通り。
よって、3+12+60=75通り。
(解答終了)
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