第9回 対称テンソルの続き
をテンソル、λを固有値、を固有ベクトルとするとき、固有方程式は次のようになる。
テンソルが対称テンソルのとき、上の固有方程式の解はすべて実数である。そして、重複解の個数により、主方向は次のようになることが知られている。
(ⅰ) 固有方程式の解T¹、T²、T³がすべて異なるとき、対称テンソルの主方向は3つ存在し、それぞれが垂直である。
(ⅱ) 固有方程式の解T¹、T²、T³の解が2つ等しいとき、T¹≠T²=T³とすれば、
T¹に対応する主方向に垂直な方向はすべてテンソルの主方向である。
(ⅲ) 固有方程式の解T¹、T²、T³が全て等しいとき、任意の方向が主方向である。
そして、3つの主方向の方向に座標軸の向きをとり、その主値をT¹、T²、T³とすれば、対称テンソルの成分は
となる。
問 つぎのテンソルの主値と主方向を求めよ。
【解】
(1) 固有方程式は
したがって、固有ベクトルをとすると、
λ=1のとき、②式、③式より
したがって、この主方向は
λ=2のとき、②式よりv¹=0。①より、v³=−v²。
したがって、この主方向は
λ=4のとき、②、③式より、
となるので、このときの主方向は
(2) 固有方程式は
したがって、
λ=4のとき、
になるので、このときの主方向は
λ=1は重根なので、上で求めた主方向に垂直なベクトルを主方向に取ることができる。
そこで、に垂直な
を一つ選ぶ。
さらに、残りの1つである、に垂直なベクトルを求めるために外積を用いると
したがって、
λ=4のとき、
λ=1のとき、
(解答終)
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