テンソルのコーヒーブレイク
直交座標系O-x¹x²に関するテンソルTの成分が
であるとする。
このテンソルの固有値をλ、固有ベクトルを、
そして、単位テンソルをIとすると、
となり、固有ベクトルvが零ベクトル以外であるためには
よって、テンソルTの固有値はλ₁=1、λ₂=3である。
また、(1)より、λ₁=1のとき、v²=−v¹となるので、固有ベクトルv¹は
λ₂=3のとき、(1)より、v²=v¹となるので、固有ベクトルv²は
である。
Tは対称テンソルだから、固有ベクトルv¹とv²は直交する。
実際、内積v¹・v²を計算すると、
となるので、この2つのベクトルが直交していることが確かめられる。
ところで、このテンソルTは対称テンソルだから、この成分を係数に持つテンソル2次曲線は
である。
この2次曲線は、固有値λ₁=1とλ₂=3にそれぞれ対応する固有ベクトルv¹とv²の方向にx'¹軸、x'²軸をとると、
となり、テンソル2次曲線がx'¹を長軸、x'²を短軸に持つ楕円であることが分かる。
上のことを踏まえて、ここで問題。
問題
直交座標系O-x¹x²に関するテンソルTの成分が
であるとき、直交座標系O-x'¹x'²に関するTの成分を求めよ。
この問題で、ここまでのテンソルに関する話をどこまで理解しているかが分かる!!
【答】
固有値λ₁、λ₂に対応する固有ベクトルの方向にx'¹軸、x'²軸をとると、この座標変換によってテンソルTの成分は
となるので、
(解答終)
ところで、
の単位ベクトルを基本ベクトルe'₁、e'₂にとると、
となる。
したがって、e'₁、e'₂の方向余弦は
である。
ここで、
とすると、直交座標系O-x¹x²からO-x'¹x'²への変換によって、テンソルTの成分は
と変換される。
当然のことながら、問題の答と一致する。
テンソル成分の変換式
を用いてもいいけれど、上のように
と行列を用いて計算した方が、計算は楽だと思う。
ここで、
とするとき、転置行列は
である。
上で求めた行列Aを例に取ると、
の場合、Aの転置行列は
である。
したがって、
となり、
したがって、この場合、
が成立し、行列Aは直交行列になっている。
また、
で、トレースと行列式も変化していない。
ここで、
とすると、
である。
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