第4回 直交軸の変換とクロネッカーのデルタ
§1 直交軸の変換
直交座標を表すのに、x、y、zのかわりに、x¹、x²、x³を用い、x¹、x²、x³軸の基本ベクトルをそれぞれe₁、e₂、e₃とする。
直交軸Ox¹、Ox²、Ox³を他の直交軸Ox’¹、Ox’²、Ox’³に変える場合を考える。
このとき、x¹軸、x²軸、x³軸に対する基本ベクトルをe₁、e₂、e₃とし、x’¹軸、x’²軸、x’³軸に対する基本ベクトルをe’₁、e’₂、e’₃とする。さらに、点Pのx¹軸、x²軸、x³軸に対する座標をx¹、x²、x³とし、x’¹軸、x’²軸、x’³軸に対する座標をx’¹、x’²、x’³とする。
x¹軸、x²軸、x³軸に対するx’¹軸、x’²軸、x’³軸の方向余弦、つまり、e’₁、e’₂、e’₃の方向余弦は、それぞれ次のようになる。
逆に、x’¹軸、x’²軸、x’³軸に対するx¹軸、x²軸、x³軸の方向余弦、つまり、e₁、e₂、e₃の方向余弦は
となる。
したがって、
また、
(1)から(2)を、(2)から(1)を直接導くことができる。
となるので、e’₁のx¹軸、x²軸、x³軸に対する方向余弦をl₁、m₁、n₁とすると、
よって、
だから、
となり、
同様に、
となる。
(1)と(2)のように、いちいち、成分に分けて書くのは面倒なので、
とまとめて書くことにする。
さらに、直交軸が(1)のように変換されるとき、点の座標の変化を調べることにする。
点Pのx¹軸、x²軸、x³軸に対する座標をx¹、x²、x³、また、x’¹軸、x²軸、x’³軸に対する座標をx’¹、x’²、x’³とすると、
(3)式から
また、
だから、
つまり、
となる。
§2 クロネッカーのデルタ
i、jがそれぞれ1、2、3の値をとるとき、9個の数を
と定義したものをクロネッカーのデルタという。
つまり、
このクロネッカーのデルタを用いると、
で。同様に、
である。
したがって、
となり、同様に
が成立する。
なお、クロネッカーのデルタを
と表記する場合もある。
問題 直交軸の変換公式
の係数に対して
であることを証明せよ。
【解】
基本単位ベクトルe₁、e₂、e₃は互いに垂直で大きさが1なので
だから、
である。
で、x’¹、x’²、x’³に対するの成分(方向余弦)は
だから
となる。
よって、
となる。
で、
だから、
また、
だから、
(証明終)
なお、
はとても重要な性質です。
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