第5回 直交座標の変換とベクトル
§1 直交座標の変換とベクトル
直交軸の変換
によって直交座標は
に変換される。
点Aを始点、点Bを終点とするベクトルをvとする。さらに、A,Bの座標をとすれば、直交軸の変換によっては次のように変換される。
よって、
になる。
x¹、x²、x³軸とx’¹、x’²、x’³軸に対するvの成分をそれぞれとすれば
となり、
によって、ベクトルvの成分は次のように変換される。
この(4)が(3)による直交軸の変換によるベクトルの成分の変換式ということになる。
順序のある3つの数の組v¹、v²、v³があるとする。直交座標の変換
によって
のように変換されるとき、この3つの数の組をベクトルといい、のおのおのをベクトルの成分という。
これに対して、直交座標の変換によって値が変わらないものをスカラーまたは不変量という。
をベクトルとするとき、で与えられる3つの数の組はベクトルになる。
はベクトルなので、
となり、
となる。
そして、とおけば、
になるので、はベクトルということになる。
また、φをスカラーとするとき、もベクトルになる。
、とする。
となるので、はベクトルである。
問題1 2つのベクトルをとすれば、
はスカラーである。
【解】
よって
で、
となるので、
(解答終)
ここで、
である。
したがって、直交軸の変換によってベクトルの内積は不変である。
問題2 ベクトルがスカラー変数tの関数であるとき、
がベクトルであることを証明せよ。
【解】
この両辺をtで微分すれば、
よって、ベクトルである。
(解答終)
§2 ベクトルの微分
直交軸の変換によって直角座標は次のように変換される。
だから、
となり、
となる。
また、
だから、
となる。
問題3 をスカラー関数とすれば、
はベクトルである。
【解】
のの座標における値をとすれば、だから
となる。
(2)より
だから、
となり、
はベクトルである。
(解答終)
x¹、x²、x³軸の基本ベクトルをe₁、e₂、e₃とすると、
となるので、
はスカラー関数の勾配である。
問題4 をベクトル場とするとき、
はスカラーである。
【解】
で、
よって、
だから、
で、
なるので、
となり、値は変わらない。つまり、スカラーである。
(解答)
x軸、y軸、z軸をそれぞれx¹軸、x²軸、x³軸とすると、ベクトルvのO-x¹x²x³座標系での成分をv¹、v²、v³とすると、vの発散は
である。
したがって、問題4は、ベクトルの発散は直交座標のとり方によって値は変わらない、ということを示している。
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