第14回 高次のテンソル
これまで取り扱っていたテンソルは2次(2階)のテンソルであるが、ベクトルから2次のテンソルを得たようにより高次のテンソルを定義することができる。
たとえば、3つのベクトルを
とし、
とおけば、直角座標の変換によって、
すなわち、
となる。
直角座標の変換
によって
が
に変換されるとき、この27個の数
の組をテンソルといい、
の各々をその成分という。
同様に、4次、5次のテンソルを定義することができる。
よって、
とおくと、
となるので、
は3次のテンソルである。これをテンソル
と
の和という。
同様に、
をテンソル
と
の差という。
また、αをスカラー、
をテンソルとすれば、
はテンソルである。
そして、
を3次のテンソル、
を2次のテンソルとすれば、
は5次のテンソルである。これをテンソル
と
の積という。
テンソルの同じ指標について、1から3まで加えることを縮約という。
縮約の例
一般に、1つの文字について縮約すると、テンソルの次数は2次下がる。
問
をベクトル、
を2次のテンソルとするとき、
は何次のテンソルか。
【解】
とすると、
したがって、これはスカラー(直交座標の変換によって値が変わらないもの)だから、0次のテンソルである。
このように解くのが正式な解き方だけれど、こんなことをしていたら死んでしまうので、1つの文字について縮約すると、テンソルの次数は2次下がるを利用すことにする(^^ゞ
は、j=iとして
を縮約したものだから、このテンソルの次数は2−2=0次になる。
は、k=jとして3次のテンソル
を縮約したものだから、このテンソルの次数は3−2=1次。
は、k=i、l=jとして4次のテンソル
を縮約したものだから、このテンソルの次数は4−2−2=0次。
は、j=iとして2次のテンソル
を縮約したものだから、2−2=0次のテンソル。
最後くらい、真面目にやろうか。
つまり、これは直交座標の変換によって変わらないのでスカラー、つまり、0次のテンソルである。
(解答終)
k=1のとき、
だから、
同様に、
したがって、
である。
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