2017年10月7日土曜日

第6回 テンソルの新たな定義

第6回 テンソルの新たな定義

§1 テンソルの新たな定義

2つのベクトルの各成分の積を作ると9個の数
が得られる。この9個の数の組をベクトルといい、これを、または、単にであらわし、の各々を積の成分という。

直角座標の変換
によって
したがって、
これがベクトルの積の成分変換式である。

9個の数の組を、すなわち、
とするとき、これが直交変換(1)によって
のように変換されるとき、これら9個の数の組をテンソルといい、の各々をテンソルの成分という。
以後、を成分とするテンソルをであらわすことにする。

2つのテンソルをとする。
このとき、
はテンソルであり、これをテンソルの和という。
また、
もテンソルであり、これをテンソルの差という。

テンソルであることの証明。
とすると、
したがって、
とおけば、
よって、テンソルである。

また、φをスカラーとするとき、はテンソルであり、これをスカラーφとテンソルの積という。

問1 φをスカラー、をテンソルとするとき、がテンソルであることを示せ。
【解】
よって、とおくと、
(解答終)

問2 クロネッカーのデルタはテンソルであることを示せ。
【解】
とする。
となるので、クロネッカーのデルタはテンソルである。
(解答終)


§2 対称テンソルと交代テンソル

テンソルの成分に関して
が成り立つとき対称テンソル
が成り立つとき交代テンソル反対称テンソル)という。

問 が成り立つとき、また、が成り立つときが成り立つことを示せ。
【解】
のとき、とすると、
のとき、
(解答終)


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