第10回 テンソルの2次曲面
テンソルの成分を係数とする次の二次形式を考える。
ここで、
とおくと、
したがって、
であるが、
よって、
となる。
は対称テンソルだから、2次形式の係数を対称テンソルの成分と考えることができる。
を対称テンソルとするとき、2次方程式
は
となり、この方程式があらわす2次曲面をテンソル2次曲面という。
はテンソルであるから、上式の左辺の値は直角座標軸の変換によって変わらない。座標におけるテンソルの成分をとすると、
したがって、におけるテンソル2次曲面の方程式は
である。
テンソルの主方向に軸をとり、その主値をT¹、T²、T³とすれば、は
となる。したがって、テンソル2次曲面の方程式は
となる。
このときの座標軸をテンソル2次曲面の主軸という。
T¹、T²、T³のいずれも正のとき、
とおき、さらにをと置き換えると、(2)式は次のようになる。
したがって、このとき、テンソル2次曲面は楕円面になる。また、a、b、cの内のいずれか2つが等しいとき、回転楕円面になる。
特に、a=b=c、すなわち、T¹=T²=T³のとき、球面になる。
また、T¹>0、T²>0、T³<0のとき、
とおくと、
となり、一葉双曲面になる。
T¹>0、T²<0、T³<0のとき、
とおくと、
となり、二葉双曲面になる。
問 次の2次曲面はどのような曲面か。
【解】
(1) この2次方程式をあらわす対称テンソルの成分は
したがって、固有方程式は
よって、主値をT¹=3、T²=T³=−2とおき、この主値に対する主方向に座標軸をx'、y',z'をとれば、方程式2x²−2y²−z²+4zx=1は
となる。
したがって、これは二葉双曲面である。
(2) 対称テンソルの成分は
したがって、固有方程式は
となる。
この3次方程式の解は2、3、6。
そこで、主値をT¹=2、T²=3、T³=6とし、この主方向にx'、y'、z'軸をとると、
よって、この曲面は回転楕円面である。
(解答終)
前回の第9回でテンソルの成分が
である対称テンソルの主値と主方向を求めた。
その結果を用いると
(1)のとき、
とすると、テンソルの主値はT¹=1、T²=2、T³=4となるので、この主値に対応する主方向に座標軸x'、y'、z'をとると、上の2次曲面は、
となり、この2次曲面が楕円面であることが分かる。
同様に、(2)のとき、
とすると、テンソルの主値はT¹=4、T²=T³=1だから、この主値に対応する主方向に座標軸x'、y'、z'をとると、上の2次曲面は、
となり、これが回転楕円面であることが分かる。
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