第4回 平行四辺形の性質
平行四辺形の定義
平行四辺形とは、2組の対辺がそれぞれ平行である四角形である。
定理11 平行四辺形になる条件
(1) 2組の対辺がそれぞれ平行(定義)
(2) 2組の対辺がそれぞれ等しい
(3) 2組の対角がそれぞれ等しい
(4) 1組の対辺が平行でかつ長さが等しい
(5) 対角線が互いに他を2等分する
【証明】
△ABDと△CDBに注目。
ABとDCは平行なので、∠ABD=∠CDB(錯角相等)。
ADとBC平行なので、∠BDA=∠BDC(錯角相等)。
BDは共通。
よって、一辺の長さと両端の角相等より△ABD≡△DCB。
したがって、AB=CD、AD=BC。
△ABCと△CDAに注目。
AB=CD
BC=DA
BDは共通。
三辺相等より△ABC≡△CDA。
よって、∠ABC=∠CDA
同様に、△ABD≡△CDB
よって、∠DAB=∠BCD
四角形の内角の和が4直角、360°であるから、
条件より、
2(∠A+∠B)=360°
よって、∠A+∠B=180°
2点A、Bを通る直線を引くと、∠A+∠DAX=180°
よって、∠B=∠DAXとなり、同位角が等しいので、
ADとBCは平行 ①
△ABDと△CDBに注目。
ADとBCは平行なので、
∠ABD=∠CBD (錯角)
また、∠A=∠Cなので
∠BDA=∠DBC
BDは共通なので、
△ABD≡△CBD
よって、
AD=BC ②
①と②より、ADとBCは平行でかつAD=BC。
ADとBCは平行でかつ長さが同じと仮定する。
ADとBCは平行なので、∠DAC=∠BCE、∠EDA=∠EBC。
また、DA=BD
よって
△AED≡△CEB
ゆえに、AE=EC、BE=ED。
よって、対角線を互いに他を2等分する。
(5)⇒(1)
対角線の交点をEとする。
条件よりAE=EC、BE=EC。
また、∠BEA=∠DEC。
よって、△BEA≡△DEC。
したがって、
∠ABE=∠CDE
∴ ABとDCは平行
同様に、△EDA≡△EBC。
∠DEA=∠BCE
∴ ADとBCは平行
(証明終わり)
このことから、(1)〜(5)は同値の命題であることがわかり、どれを平行四辺形の定義に使ってもいいことになる。
四角形の内角の和が4直角、360°であることは、四角形ABCDに対して対角線ACを引けば、四角形ABCDが△ABCと△CDAに分割されることから、ほとんど、明らかでしょう。
問題1
平行四辺形ABCDで、辺AD、BCの中点をそれぞれE、Fとし、AとF、CとEを結ぶとき、平行四辺形AFCEは平行四辺形であることを証明せよ。
ADとBCは平行。よって、AEとFCは平行。
平行四辺形なので、AD=BC。
EはADの中点、FはBCの中点だから、
AEとFCは平行で、かつ、AE=FCなので、定理8の(4)より
四角形AFCEは平行四辺形である。
(証明終わり)
これは、あくまで、証明の一例にすぎない。次のような証明法もあるし、他にもある。
ADと
BCは平行なので、∠
FEA=∠EFC(錯角)。
条件よりAE=FC、FEは共通。
よって、2辺挟角相等より
△AFE≡△CEF
したがって、∠AFE=∠CEF。
よって、
AFとECは平行。
2組の対辺がそれぞれ平行なので、四角形AFCEは平行四辺形である。
問題2 図のように、△ABCの辺AB上の点PからACに平行に引いた直線と、∠BACの二等分線との交点をQとする。また、PからQCに引いた直線と辺ACとの交点をRとする。
このとき、AP=RCであることを証明せよ。
PQとACは平行なので、
∠CAQ=∠PQA (錯角)
また、∠BACの二等分線なので
∠QAP=∠CAQ=∠PQA
よって、△PQAはPを頂点とする二等辺三角形。
したがって、
AP=PQ
四角形PQCRは平行四辺形なので
RC=PQ=AP
(証明終わり)