第17回 ベータ関数と複素解析の留数定理を使って定積分を計算する
ベータ関数の定義
(1)式は、
と変数変換すると、
と書き換えることが可能。
特に、p+q=1のとき
一方、複素解析、複素積分の留数定理とは次の定理である。
定理 (留数定理)
関数f(z)が閉曲線Cの内部に有限個の特異点をもち、これらの点以外では曲線C上およびその内部で正則であるとき、次の等式が成り立つ。
複素解析で扱う関数は、実数の変数ではなく複素数の変数であることに注意。そして、iは虚数単位i²=−1である。
また、f(z)のz=α近傍でのローラン展開
の係数A₋₁をz=αにおける留数といい、またはであらわす。
問題 次のことを示せ。
【解】
t=1/xとおくと、x=0のときt=∞、x=∞のときt=0。
また、
よって、
したがて、
x⁴=uとおくと、x=0のときu=0、x=∞のときu=∞。
さらに、
よって、
(3)式でp=3/4とおくと
となるので、
ガンマ関数の倍角公式から
したがって、
(解答終)
複素解析の留数定理を使うと次のように積分の値を求めることができる。
【留数定理を使った解答】
の複素平面の上半平面にある極はの2つ。
したがって、留数は
f(z)は偶関数だから
(解答終了)
なお、留数を求める計算では、
g(z)をαを1位の零点としてをもつ正則関数、h(z)をαを零点にもたない正則関数とするとき、
という公式を使っている。
上の問題の場合、g(z)=1+z⁴、h(z)=z²だから
そして、この問題の関数は、複素解析の第53回で述べたタイプⅡの積分。
タイプⅡ
f(z)は複素平面の上半平面(Imz≧0)で有限個の極を除いて正則であり、実軸上に極を持たず、かつとすると、
を使っている。
ガンマ関数の倍角公式
の導出は、前回の記事で示してある。
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