第3回 三角形の角と辺の大小
§1 三角形の辺と角の大小
定理8
三角形において
(1) 大きい辺に対する角は小さな辺に対する角よりも大きい。
(2) 大きい角に対する辺は小さな角に対する辺よりも大きい。
【証明】
(1)AB>ACとする。
AB>ACなので、AB上にAD=ACである点Dを取ることができる。
AB=ACなので、△ADCは二等辺三角形。
よって、
∠ADC=∠ACD
∠ADC=∠ACD
したがって、
よって、AB>ACならば、∠C>∠Bである。
(証明終)
(2) ∠C>∠Bとすると、AB上に∠ECA=∠Bとなる点Eを取ることができる。
さらに、∠BCEの二等分線とABの交点をFとする。
このとき、
∠AFC=∠FCA (※)
で、△AFCは二等辺三角形。
よって、
AB>AF=AC
(証明終)
(※)外角定理より、∠AFC=∠B+∠BCF
∠FCA=∠EFC+∠FCE=∠B+∠BCF
∴ ∠AFC=∠FCA
(2)で背理法を使うならば・・・。
∠C>∠BのときAC≧ABであるとする。
AC=ABのとき、二等辺三角形なので∠C=∠Bとなり矛盾。
AC>ABのとき、(1)より∠B>∠Cとなり矛盾。
よって、∠C>∠BならばAB>ACである。
問題1 △ABCの∠Aの2等分線がBCと交わる点をDとすると、
AB>BD、AC>CD
であることを証明せよ。
【証明】
三角形の外角定理より
∠BDA=∠C+∠CACD=∠C+∠DAB>∠DAB
△ABDに注目すると、∠DABの対辺はBDで、∠BDAの対辺はABだから、定理8より
AB>BD
である。
また、
∠ADC=∠B+∠DAB=∠B+∠CAB>∠CAB
△ADCに注目すると、同様に
AC>DC
である。
(証明終)
問題2
△ABCにおいて、AB>ACのとき、∠B、∠Cの2等分線の交点をPとするとき、PB>PCであることを証明せよ。
【証明】
AB>ACより∠C>∠B
よって、
(証明終)
§2 2つの三角形の辺と角の大小
定理9 2つの△ABC、△A'B'C'において、AB=A'B'、AC=A'C'とする。
(1) ∠A>∠A'ならばBC>B'C'
(2) BC>B'Cならば∠A>∠A'
【証明】
(1) 図のように、A’B'をABに一致するように△A'B'C'を△ABCに重ねる。
∠CADの二等分線と辺BCの交点をEとする。
△ADE≡△A'CE
よって、
DE=EC
三角形の2辺の和は他の1辺より大きいので、
BD<BE+ED=BE+EC=BC
よって、
BC>BC'
である。
(2)
(1)より、
∠A>∠A'ならばBC>B'C'
∠A=∠A'ならばBC=B'C'
∠A<∠A'ならばBC<B'C'
よって、転換法より
BC>B'Cならば∠A>∠A'
(証明終)
問題4 △ABCの辺AB、AC上にそれぞれ点D、EをBD=CEとなるようにとると、
AB>ACならばBE>CD
であることを証明せよ。
【解】
△ABCに注目。
AB>ACならば、定理Aの(2)より
∠B<∠C
で、△BCDと△BCEの2つの三角形に注目する。
BCは共通、そして、BD=CE。そして、∠B<∠Cだから、定理Bの(1)より
BE>CD
である。
よって、
AB>ACならばBE>CD
(解答終)
§3 三角形の二辺の和と差
定理10
三角形において
(1) 2辺の和は第3辺よりも大きい。
(2) 2辺の差は第3辺よりも小さい。
【証明】
(1) BAの延長上にAC=ADとなる点Dをとる。
(1) BAの延長上にAC=ADとなる点Dをとる。
BA+AD=AB+AC=BD ①
三角形ACDはAC=AD、
二等辺三角形だから
∠BDC=∠ACD
よって、
∠D
=∠ACD<∠BCA+∠ACD∠BCD
第19回の定理Aより
BD>BC ②
①と②より
AB+AC>BC
よって、
三角形の2辺の長さの和は、残りの他の1辺の長さよりも大きい
(証明終わり)
(2)
②より、b−c<a、③よりc−b<a。
よって、
同様に、
問題2
△ABC内の任意の1点をPとすれば
AB+AC>PB+PC
であることを証明せよ。
【証明】
BPの延長とACの交点をDとする。
△ABDに注目すると
△PCDに注目すると
①と②の辺々を足すと
(証明)
0 件のコメント:
コメントを投稿